島根半島の北約50kmほどの位置にある隠岐諸島は、「島前三島」と呼ばれる知夫里島・中ノ島・西ノ島を含む「島前」と1島のみから成る「島後」の4島があります。このうち島前には約6,000人、島後には約14,000人の人が暮らしています(平成27年3月現在)。最先端の海産物冷凍設備に投資して町の破綻を上手に回避したのち、精力的に様々な人口減少対策を打ち出している海士町(中ノ島)をはじめ、隠岐全域で地域の活性化政策が日々検討されていますが、やはり地方の例に漏れず人口は少しずつ減少しています。
しかし、隠岐には住んでみると分かる、たくさんの誇るべき魅力があります。
まず食べ物が美味しい。アワビや岩がき、カニなどの新鮮な海の幸はもちろん、近年では「藻塩米」など独自の農作物も注目を浴びています。都会の喧騒とは真逆の、平和にのんびり流れる日常の時間。車が通る道にも牛や馬がゆっくりと慎ましく歩いている所もあります。時々野菜や果物をくれるご近所さん。この島では飢え死にする人はいません。釣り好きにはたまらない、気が向いたらすぐ行ける釣りスポットの数々。ここでは1日のあらゆる時間に、至る所で釣り人を見かけるでしょう。「渾身」という映画にもなった「隠岐古典相撲」など中には独特な形成を遂げたものもある、老いも若きも巻き込んでの伝統のお祭り。この小さな島にこんなに人がいたの!?というくらい人がわっと押しよせるイベントがいくつもあります。多彩で謎めいた、豊かな地質や地形。北海道や沖縄、大陸性・高山性・氷河期の植物がなぜか共存していること、その自然と文化の緊密な結びつきなどから、平成25年には世界ジオパークに認定されました。逸話や史的資料の宝庫である、長い歴史。石器時代には黒曜石の産地として、中世には遠流(おんる)の地として、近世には北前船の風待ち港として、地理的特徴や豊富な作物を活かし続けて来ました。もちろん他にもたくさんあります。
私たちはこれらの宝ともいえる、過去から受け継いだ隠岐の「いいとこ」の数々をしっかりと後の世代に伝えて行く必要があると共に、時代に合わせた、あるいは先を見据えた新たな「いいとこ」も積極的に発掘していく必要があると感じています。興味を覚えた方は、隠岐を訪れてみたり、一緒に働いてみたり、しばらく住んでみたりして、一緒に取り組んでみませんか。
「ファームみなみ」では、有機栽培、減農薬で安心・安全な農作物・果樹づくりに取り組んでいきます。
また、年間を通して作付けや収穫などへの参加型イベントも企画するなど、大地への積極的で多様な働きかけを通じて自然の中で暮らす大変さと喜びを、ひいてはそれを出来るだけ多くの人と分かち合うことで得られる、島を活性化するヒントを探っています。興味ある方はぜひ、お気軽に当社を訪れてみて下さい。
いま、隠岐の農業はとても深刻な問題を抱えていると思います。
隠岐島内での農作物の自給率は低下しています。農業をする人がいなくて、荒れている農地がたくさんあります。耕作放棄地が今後も増え続けていくと予想されます。
私たちは、高齢により耕作を続けていくことが不可能になった田圃の持ち主より依頼を受けたり、耕作放棄地を借りたりすることで農業生産を行っています。
その耕作地を可能な限り整備し、また収穫物からこの島の力強い価値となる製品を作り出すことで、やがてこの島を受け継いでいくであろう人々のためにきちっとした土台を作ってやらねばと、日々頑張っているところです。
また、会員になって頂いた方にも農業体験をして頂いたり、出来あがった農作物を食べて頂いたりする事で、農業に携わる喜びや農業本来の姿を理解して頂きたいと思っています。
以上の活動を通じて私たちは、農業の新たな担い手としての役割を自覚すると共に、地域社会の発展に可能な限り貢献したいと思っております。